独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

診療の最前線 カテゴリーアーカイブ

最新記事 (20件) カテゴリから選ぶ 年間アーカイブ

リードレスペースメーカ植込みの選択肢が増えました

ペースメーカは徐脈に対する画期的な治療法の一つですが、ペースメーカのトラブルの多くはリードに起因しています。また、これまでポケット部の感染等の問題もあり、リード抜去の必要時には危険を伴う場合がありました。従来のペースメーカに加え、2017年9月よりリードのないペースメーカが現在使用できます。リードレスペースメーカは、電極とジェネレータを一体にして、図のような経静脈的に心腔内に留置するデバイスです。

心原性ショックとは? 補助循環用ポンプカテーテル(Impella®)導入

 当院は鹿児島県の循環器診療の中心的な役割を担っており、重症や多くの疾患を有する患者さまに標準治療のみならず高度で複雑な治療を中央に遅れることなく、鹿児島の患者さまに安心安全に提供する責務を担っております。

 特に急性心筋梗塞や不安定狭心症、致死性不整脈、重症心臓弁膜症、劇症型心筋炎、重症の急性心不全は迅速に集学的な治療が必要であります。当院では24時間、365日循環器医師が常駐しており、そのような病院は、鹿児島県には少なく、救急患者の受け入れのみならず、適切な治療を可能なかぎり迅速に施行し、救える命、救わねばならない命を落とさないよう体制づくりをおこなっています。

2022年10月に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)通算500例目を迎えました

 当院は循環器診療の中核病院として、標準治療を中央に遅れることなく、鹿児島の患者さまに安心安全に提供する責務を担っております。大動脈弁狭窄症に対する治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)は、20176月に当院が鹿児島県で最初の症例を経験することができ、多くの患者さま、医療機関の皆様に支えられ、誠実に診療を続け、2021年にはTAVI年間症例数127例、全国17位、九州2位の実績でした。治療開始から54カ月が経過し、202210月に通算500例目を迎えることができました。これまでには自己拡張型を使用したTAVI、心尖部アプローチのTAVI、鎖骨下動脈アプローチのTAVI治療も経験してきました。さらに2022年になって当院は九州で3施設目となるTAVI指導施設の認可をうけ、以前留置された外科的大動脈弁の弁機能不全患者さまに対して、追加してTAVI弁を留置する治療(TAV in SAV)、また今まで適応外で治療できなかった透析患者さまの大動脈弁狭窄症に対しての治療を行うことができ、多様化する患者さまの病態に応じた治療をおこなえるようになりました。

TAVI指導施設認定 透析患者様へのTAVI可能に

この度、当院はTAVI専門施設でありましたが、TAVI指導施設に認定されました。

大動脈弁狭窄症に対する治療方法はより体への負担が軽減される低侵襲へ向かっており、その安全性の向上とともに需要が増加傾向にあります。
2017年6月に鹿児島県で初の経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)開始され、以降、年々手術症例数も増加傾向にあり2020年以降は年間100症例を超えております。

2022年3月18日当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)を初施行しました

2022年3月18日 当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)を初施行しました。

小倉記念病院から2名の先生を招いて、指導を受けながら、無事手技を終了することができました。

「僧帽弁閉鎖不全症」は僧帽弁という逆流防止の心臓弁の閉鎖が悪くなり、血液が左心室から左心房へと逆流してしまう病気で、効率的な心臓のポンプ機能が妨げられ、心臓の機能が低下や心不全の状態となってしまいます。

PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)挿入が年間300例を超えました

 PICCとはPeripherally Inserted Central Venous Catheterの略で、末梢挿入式中心静脈カテーテルのことをいいます。PICCは従来の中心静脈カテーテルに比べ、挿入時に気胸や血胸といった生命にかかわる合併症が少なく、2017年に医療事故の再発防止に向けた提言の中で、「中心静脈穿刺は致死的合併症が生じ得るリスクの高い医療行為であるため、中心静脈カテーテル挿入の適応についてはPICCによる代替を含め、会議で慎重に決定する」と報告されました。また、2015年に看護師の特定行為の1つにPICCの挿入が認められたこともあり、近年需要が高まりつつあります。

2022年1月13日 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)400例

 大動脈弁狭窄症は、弁膜症の中では最も多く、進行すると命に係わる病気です。
 見過ごされがちですが、60~74歳で2.8%、75歳以上の方では13.1%の潜在患者さまがいると言われております。その中で治療を必要とする重症の大動脈弁狭窄症は70歳未満では1%未満ですが、80歳以上になりますと、7%程度の頻度と言われています。

 根本的治療は固く・狭くなった大動脈弁を置き換えるしかありません。大きな手術になるため、開胸手術を受けられない患者さまもいらっしゃいます。そのような方のために胸を開かずに大動脈弁を置き換える治療、より体への負担が軽い経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が始められました。

リードレスペースメーカに房室同期ペーシング機能が新たに搭載されました

 2017年9月に本邦において、リードレスペースメーカ植込み(Micra)が保険償還され、当院においても2017年9月14日に第1例目を開始し、20217月で200件を達成しました。
 リードレスペースメーカは、大腿静脈からアプローチし、わずか容積0.8cc/重さ1.75gのデバイスのみを右室内に挿入するペースメーカです。これまで心室ペーシング(VVI/VVIR)設定のみに限定されるペーシングモードでしたが、Micra AV202111月より使用できるようになり、安静時の房室同期が可能となりました。植込み手技における手順に違いはありません。

『TAVI専門施設』認定

いつも患者さまをご紹介いただき、大変ありがとうございます。
当施設は地域中核病院として、心臓弁膜症を含めた循環器診療に尽力しており、このたび当施設がTAVI専門施設に認定されましたので、ご報告させて頂きます。
平素よりお力添えを賜り、誠にありがとうございます。

当院での心不全カンファ、ACP(advance care planning,人生会議)の取り組みについて

 今回は、当院の心不全に対しての取り組みの一つであるカンファについて紹介させていただきます。

 高齢化社会に伴い、心不全の患者さまは増加傾向にあり心不全パンデミック(心不全の大流行)という言葉もいわれています。日本でも約120万人の心不全患者さまがいると推定され、日本循環器学会、日本心不全学会からは2017年に、『心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。』という心不全の定義を発表しています。そして、作成の経緯として、循環器疾患の死亡数が多いこと、心不全の予後も決して良いものではないにもかかわらずその事実や心不全の怖さ(完治しないことなど)があまり知られていない状況についても触れられています。 確かに悪性腫瘍などと比べ、『心不全』が命にかかわるという認識は広く一般には浸透していないと感じることは多いと思われます。

PICC外来開設のお知らせ

食事がとれない方、抗がん剤など薬液が漏れることなく確実に点滴を行いたい方、点滴を刺す血管がない方、長期間点滴が必要な方に対して、今までは中心静脈カテーテル(細い点滴の管)というものを挿入しておりましたが、活動が制限されたり、長期挿入にて感染を起こしたりするなどの合併症により長期間使用するのは困難でありました。

当院では末梢より穿刺して中心静脈カテーテルと同じ役割を果たすPICCを挿入することで、今までの中心静脈カテーテルの問題点を解決し、長期間にわたる点滴管理を可能にしております。

今回、PICC外来を開始し、その対象を院外の患者様や他の病院、施設に入所中の方や在宅で治療中の方で長期に点滴加療が必要な患者様に提供できるような体制をとることといたしました。

経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)300例を迎えました

 大動脈弁狭窄症に対する治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)は2013年に日本で保険診療が開始されました。鹿児島県では施設整備等の遅れのため、なかなか実施できない状況が続きましたが、20176月に当院が鹿児島県で最初の症例を経験することができました。その患者様は今もご存命で、年1回の診察のたびに、その当時お互い不安の中で一緒に闘い抜いたことを思い出し、ともに涙を流しながら今健在であることを喜んでいます。しかし、その治療開始は都道府県別で43番目、施設別では118施設目と、出遅れたことにより、鹿児島でTAVI治療を施すことができず、今では救命できる患者様を救えなかった悔しい経験を思い出します。

2020年12月3日鹿児島県初の自己拡張型人工弁での経カテーテル大動脈弁置換術 (TAVI)施行!

 2020年12月3日鹿児島県初の自己拡張型人工弁での経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)施行しました。
 70歳未満では1%未満、80歳以上になりますと、7%程度の頻度と言われる大動脈弁狭窄症ですが、無症状の方から、胸痛・息切れ・失神など様々な症状を認め、症状出現からの進行が早く、大変予後の悪い疾患となっています。その大動脈弁狭窄症に対する治療戦略は、2020年弁膜症ガイドラインの改定により変貌しつつあります。
 2020年、日本循環器病学会でのガイドラインが改訂され、より低リスクの患者さまへの治療適応の方向性が示されました。大まかな目安として、75歳未満でSAVR、80歳以上で、TAVIとなっています。当院では、それぞれの患者さまに合った治療方法を多職種によるハートチームカンファレンスで検討した上で、決定していきます。

2020年6月25日 経カテーテル大動脈弁置換術200例超えました

心臓弁膜症の患者さまは年々増加しています。そのうち最も多いものが大動脈弁狭窄症で、加齢により動脈硬化が進行すると、弁そのものの変形や石灰化により大動脈弁の狭窄が進行する病気です。そして息切れ、胸痛、失神発作等の症状が出現した場合や、心不全のため入院した時点で手術の適応となります。また、無症状の方でも、かなりの重症になりますと、手術が勧められます。
重症の大動脈弁狭窄症は70歳未満では1%未満ですが、80歳以上になりますと、7%程度の頻度と言われています。

心臓植込み型デバイスにおける遠隔モニタリングシステム -植込み患者のデバイスの定期的な対面診療を支えます-

当院での不整脈デバイスの治療には、下記のようなものがあります。

高度の徐脈性不整脈(洞機能不全症候群、房室ブロックなど)に対してのデバイス治療には、
  ・恒久的ペースメーカ植込み(経静脈的)
  ・リードレスペースメーカ

頻脈性不整脈に対してのデバイス治療には
  ・ペーシング機能付き植込み型除細動器(経静脈的)
  ・皮下植込み型除細動器(S-ICD)
  ・着脱式除細動器

③心不全に対してのデバイス治療には
  ・両心室再同期療法(CRT)

原因不明の失神、脳梗塞の原因診断に対してのデバイス治療には、
  ・植込み型ループ心電計

最近のデバイスは、大部分が遠隔モニタリング対応となっています。
遠隔モニタリングシステムは、患者さま宅に専用の中継機器を設置して頂き、自宅から植込みデバイスの情報を専用のサーバーへ送信し、医療機関から情報を閲覧できるシステムです。

より生理的なペーシングを目指したヒス束エリア・左脚エリアペーシングを始めました

 高度の徐脈性不整脈(洞機能不全症候群、房室ブロックなど)に対しては恒久的ペースメーカ植込みがなされています。ペースメーカのリード植込み部位は、安定した固定が得られることより長年、心房は右心耳、心室は右心室心尖部が主流でした。最近、心房は右心耳以外、心室は右室心尖部以外の部位が選ばれるようになってきました。
 右心室心尖部ペーシングは、医原性左脚ブロックによる左室非同期性収縮を誘発し、QRS幅が広くなり、心房細動や心不全が増加すると報告されています。特にペーシング率が高い場合は、収縮機能不全を来すため、右室ペーシング誘発性心筋症を招き、心不全と死亡率の増加につながりやすくなります。

経皮的ペースメーカリード抜去術

 ペースメーカのリードは植え込まれている年数が長い場合は、静脈や心臓の壁に癒着を起こし牽引しても抜けない状態になります。過度の牽引は血管損傷や穿孔といった致死的な合併症を引き起こす可能性が高く、以前は開胸術や開心術による摘出が行われていました。

 経皮的リード抜去術では、スネアやシースなどの機器を使用して抜去する方法があります。2010年エキシマレーザーシース、2011年リードロッキングデバイス、2015年メカニカルシース・スネア、2018Rotationダイレータシースセットが保険適用となっています。

 感染が原因である場合と非感染症例に対するリード抜去術がありますが、適応としては、日本不整脈心電学会がガイドラインを出しております。

 感染症例に対しては、すべてのデバイス感染者が適応となります。

植込み型ループ式心電計

 繰り返す失神発作を認め、心電図やホルター心電図検査等のいろいろな検査をしても原因が分からない場合があります。このような場合に、診断に役立てるために開発されたのが、体内に小型心電計を植込むimplantable loop recorderILR)です。長時間心臓の拍動を継続的に監視し、不整脈や失神などの症状が起きた時の心電図を記録する装置です。

令和元年5月9日に経カテーテル大動脈弁置換術100例を迎えました

心臓弁膜症の患者さまは年々増加しています。そのうち最も多いものが大動脈弁狭窄症で、加齢により動脈硬化が進行すると、弁そのものの変形や石灰化により大動脈弁の狭窄が進行する病気です。そして息切れ、胸痛、失神発作等の症状が出現した場合や、心不全のため入院した時点で手術の適応となります。

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