独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

リードレスペースメーカ植込みの選択肢が増えました

ペースメーカは徐脈に対する画期的な治療法の一つですが、ペースメーカのトラブルの多くはリードに起因しています。また、これまでポケット部の感染等の問題もあり、リード抜去の必要時には危険を伴う場合がありました。従来のペースメーカに加え、2017年9月よりリードのないペースメーカが現在使用できます。リードレスペースメーカは、電極とジェネレータを一体にして、図のような経静脈的に心腔内に留置するデバイスです。


(図:N Eng J Med 2016; 374: 533-41)

リードレスペースメーカ植込み(Micra)は、これまで心室ペーシング(VVI/VVIR)設定のみに限定されるペーシングモードでしたが、Micra AVが2021年11月より使用できるようになり、安静時の房室同期が可能となりました。さらに今回、Aveir VRリードレスペースメーカが2023年3月より使用可能になりました。Micraは心筋内にタインドで植込みしていましたが、Aveirはスクリューでの植込みです。Aveirは慢性期に抜去でき、電池寿命も長くなっています。

リードレスペースメーカ植込みは、当院では2017年9月14日に第1例目を開始し、2023年12月で380例を達成しました。適応は、VVI型ペーシングに適した患者のうち、下記の疾患を持つものとされています。

  1. 心房細動を併発した症候性の発作性または慢性の高度房室ブロック
  2. 心房細動を併発しない症候性の発作性または慢性の高度房室ブロックを有し、心房へのリード留置が困難またはハイリスクあるいは効果的と認められない場合
  3. 症候性の徐脈頻脈症候群または同機能不全症候群で、心房へのリード留置が困難またはハイリスクあるいは効果的と認められない場合

などが推奨されています。

ペースメーカ植込みが必要であるが、

  1. 透析患者で、静脈閉塞の既往や、動静脈シャントの温存・感染のリスクがある患者
  2. リードにより三尖弁逆流を伴う患者
  3. デバイス感染でリード抜去後
  4. 認知症があり、安静が保てない
  5. 高度フレイルや寝たきりの状態
  6. 期待余命1年未満

などで植込みを敬遠していた患者さんもいるかと思います。このような患者でお困りのことはないでしょうか?

リードレスペースメーカは、大腿静脈からアプローチし、デバイスのみを右室内に挿入するペースメーカです。なんといってもリードがないこと、ポケットの形成が必要ないことがメリットであり、創部は大腿部の穿刺部位のみです。

当院では、リードレスペースメーカを入院当日に植込み、翌日には施設に退院できる患者も多数経験していますのでご相談ください。

文責:循環器内科部長 薗田正浩

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